©2024 Yamaguchi Haruki
2023
流れに身を任せる書体
書において、前後の文字が繋がる「連綿」は文脈や言葉には依存せず、文字そのものの形の前後の組み合わせと、書き手の感性によって発生する。欧文の筆記体のように、常に単語ごとに筆跡が途切れるわけではなく、単語と単語の間がそのまま連綿することもあれば、単語の途中でも途切れることもある。
「ささぶね」は『元暦校本万葉集』とその同時代の作品に綴られたかな文字を参考に制作した。『元暦校本万葉集』は複数の能書によって書かれた作品である。複数人の書を参考にすることで、個人の癖や特徴ではなく、連綿そのものの特徴を書体に持たせることができるのではないかと考えこの作品を選んだ。
この書体はどんな文字の並びであっても、連綿させるかさせないかを選択できる。しかし、ただ筆が繋がっているだけでは「連綿らしさ」はない。連綿を観察すると、後ろの文字の始筆の位置によって形の傾向が見られる。揺れながら進む全体の筆の運びに「連綿らしさ」があると考え、起筆と収筆を複数制作することにした。
LET'S TYPE!